ドイツから来た電気経路検査
1. はじめに 6. EAVの世界的普及状況
2. EAVとは? 7. EAVの測定ポイント
3. EAVには何ができるのか? 8. 測定の実際
4. EAVの歴史 9. レメディーテストと臨床例
5. 新しい経絡「ベッセル」
1. はじめに

東洋医学、あるいは代替医療をやる者にとって、ある程度客観的な評価手段、検査手段を持つことは悲願であろう。このような検査手段の一つに経穴の状態を電気的に評価するEAVというシステムがある。EAVとはElectro-Acupuncture according to Vollの略で、ドクター・フォルによる電気経絡検査といった意味である。筆者はEAVのシステムを使って日々診療している。この連載では、EAVの基本原理と臨床について説明していくつもりである。
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2. EAVとは?

EAVは、経穴の電気伝導性(電気の流れやすさ)を測定する。下の写真のように、被験者がマイナス極の電極を握り、測定する側がプローべと呼ばれる器具(先端が金属になっていてプラス極)を被験者の経穴に押し当てて電子を吸い取る。電圧は1.25ボルトで、一定に保たれている。健康で理想的な経穴の電気抵抗値は95KΩということが、経験的にわかっている。これより電気が流れやすいと機能亢進傾向、流れにくいと機能低下傾向と判断する。ただし、最も重視されるのは、インディケータードロップと呼ばれる電流値が急速に落ちていく現象である。この現象のみられる経穴は、いま現在変化を受けつつある臓器(あるいは経絡)と解釈される。
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3. EAVには何ができるのか?

前述したように、EAVは経穴の電流値を計ることで、弱点となっている経絡、あるいは臓器が指摘できる。また、EAVは各種セラピーの治療効果も判定できる。鍼灸治療などのセラピーがその患者さんにとって適切かつ十分であれば、インディケータードロップは消失し、理想値95KΩ (EAVシステム上では50という数字)に接近する。そして更に興味深いのは、ホメオパシー(毒をうすめて薬のようにして使う、ヨーロッパではかなり普及している自然医学)を回路内の一部に挿入することで、適切なホメオパシーを選定することができることである。挿入したホメオパシーがもしその人々にとって適切であれば、やはりインディケータードロップは消失し、理想値95KΩに接近する。実は選定できるのはホメオパシーに限らず、薬草、エッセンシャルオイルなども可能なのであるが、EAVの治療手段として歴史的に最も使われているのは 、ホメオパシーであるため、ここでは話をホメオパシーに限っておく。EAVでは、このように治療法、治療薬を選定するテストをレメディーテストと呼んでいる。レメディーとは治療という意味である。以上、EAVでできることをまとめると次のようになる。

(1) 異常経穴の指摘
(2) 治療効果の判定
(3) 適切なホメオパシーの選定

実はホメオパシーの選定もからんで、EAVは影響毒素(バクテリア、ウィルス、かび、化学物質、重金属など)の示唆も可能となる。それについては後述する。
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4. EAVの歴史

伝統的な鍼灸には12本の経絡があります。6本は手にあり、残りの6本は足にあります。伝統的な経絡では、親指には肺経があり、人差指には大腸経、中指には心包、薬指には三焦の経絡があります。このように指1本に経絡1本がありますが、小指には心経と小腸経の二つの経絡かあります。ドクター・フォルは、小指に二つの経絡があるのであれば、ほかの指にも二つ経絡があるのではないかと考えました。そして、大腸の経絡のある人さし指の反対側にも特定できる経絡を発見し、中指と薬指にも新しい経絡を発見しました。親指にももう1本の経絡を発見しました。このようにさらに四つの経絡を発見しました。EAVではドクター・フォルの発見した新しい経絡を「ベッセル」とよんでいます。足も同じことです。伝統的な鍼灸では足の親指に二つの経絡があり、一つは脾臓/膵臓、一つは肝臓です。人差し指には胃経があります。薬指は胆系。小指は腎経と膀胱経ということになっています。伝統的な鍼灸では、足の中指には経絡は何もありません。しかし、ドクター・フォルは、そこにも皮膚と結合組織につながっているベッセルがあることを発見しました。このように、足のほうでも伝統的な鍼灸では知られていなかった新しい四つのベッセルが発見されました。
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5. 新しい経絡「ベッセル」

EAVの言葉の中に、Acupuncture(アキュパンクチャー、経絡治療)という単語が入っていることからわかるとおり、経絡、経穴の考え方がその基本にある。EAVの基礎をつくり、また今のような形にまで発展させたのはドクター・フォルというドイ ツ人医師であった。彼は上海中医学院に留学し、中医学を学んだ後、母国で電気を使った鍼治療をしていた。そしてそれと並行して経穴の通電性を調べていた。通電性(=電気伝導性)について彼は興味深いことを発見した。どうやら理想的数値のあるらしいこと、高値、低値というものが臨床症状とある程度一致するということ、そして何よりも、電流が急速に落ちてゆく現象(これを彼はインディケータードロップと名付けた。略してドロップ、もしくはID)を発見する。当初フォルは、通電性の検査に鍼を用いていた。しかし、後にはプローべと呼ばれる器具を用いるようになった。これを用いると、鍼を刺入しなくても皮膚表面より押し込むだけで、ほぼ同じ計測値が得られる。話がややそれるが良導絡とEAVの違いの一つに、皮膚表面の通電性か、あるいはプローべを押し込んでの計測か、という点がある。この押し込むという動作は重要で、インディケータードロップはこの動作ぬきには得られない。
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6. EAVの世界的普及状況

EAV機器は、ドイツ中心に2万台以上普及しているといわれている。ドイツに次いで普及しているのはロシアである。ロシアではすでに 5千人以上の医師がEAVのトレーニングを受けている。EAVを含めた代替医療を研究する者にとってロシアの研究蓄積は見逃せない。しかし、その文献のほとんどがロシア語であるため、アプローチに一定の困難がつきまとう。EAVは世界各国で医師、整体治療家、鍼灸治療家などにより使われているが、興味深いのは、歯科医師でEAVを使っている方が比較的多いことである。これはEAVが全身疾患を歯科との関連で見ることが多いためである。筆者はこの夏、アメリカで開催された生体エネルギー学会に参加してきた。同学会の主要テーマの一つにEAVがある。EAV関連の演題発表した先生方の中で、歯科のドクターはかなりの割合を占めていた。
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7. EAVの測定ポイント

EAVの測定ポイントは手指、足指に集中している。その中でも、その経絡の状態を反映しやすいポイントを、フォルはCMP(Control Measurement Point: 基準測定点)と名付けた。CMPは図1にあるような部位に位置している。CMPを含め、EAVで測定するポイントは実はそのかなりが経穴とは認識されていない。したがって、経穴の測定ではなく、正しくは測定ポイントの測定というべきであろう。しかし、前述した生体エネルギー学会のEAVの話の中でも、経穴と言ったり測定ポイントと言ったり、明確な区別をしていない。厳密さをやや欠くきらいがあるが、筆者もこのふたつについてはあえて区別しない。

【 図1 】


ところでさらに重要なことは図示している測定ラインが古典的経絡と比べて明らかに数が多いことである。フォルはEAVにおいて彼自身が加えた測定ラインを、ベッセル(Vessel)と名付けている。ベッセルとは脈管というような意味である。
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8. 測定の実際

手指、足指のCMPについて測定した例を図2に示す。図の白く抜けたところがインディケータードロップである。インディケータードロップとは、一度ピークに達しながら、同じ電流を維持できず、下落していく現象であり、その経絡が病的変化を受けつつあることを示す。低値、高値についてもそれぞれ意味がある。高値は機能亢進傾向、低値は機能低下、あるいは細胞の変性傾向を表す。図2は、緑内障の女性のものである。GB(胆経)、およびBL(膀胱経)で大きなドロップが見られる。グラフが各二本あるが、上が左側、下が右側である。胆経でドロップがあるのは、緑内障を反映している。胆経は眼病と極めて関連が深い。


図2


図3は脳腫瘍の男性の方のものである。FI(繊維変性)のベッセルで、左右ともドロップが見られる。良性腫瘍変性はFIに表れやすい。

【 図3 】
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9. レメディーテストと臨床例

インディケータードロップは診断面についても重要であるが、ドロップが所見として格別に重要視されるのはレメディーテストのためである。レメディーテストは、EAVにおいて適切なホメオパシーを選定するテストで、具体的には写真3のような穴のあいた金属器具(形状が蜂の巣状であるため、ハニーカムと呼ばれている)にホメオパシーアンプルを入れて測定する。もしも、入れたホメオパシーが適切であれば、ドロップは消失し、測定値が理想値95KΩに接近する。レメディーテストは適切ホメオパシーを選定できるという点で十分魅力的である。しかしさらに興味深いのは、レメディーテストにより影響毒素について示唆が与えられている点である。というのは、ホメオパシーテストアンプル(写真4)の中に病原体(バクテリア・ウィルス、かびなど)あるいは、化学物質、重金属などを希釈したものがあるからである。例えば、神経のポイントで単純ヘルペスウィルスのテストアンプルがドロップを阻止すれば、その患者さんの神経関連症状(例えば腰痛症)に何らかの形でヘルペスウィルスが影響を与えていることが示唆される。

【 写真3 】
【 写真4 】

このように、レメディーテストを利用することで、EAVでは原因不明とされる多くの慢性疾患に対し、ある程度原因とおぼしきものを示唆することができる。そして非常に便利なことに、レメディーテストによって割り出された毒素情報は、ただちに治療情報となり得る。つまり、その毒素のホメオパシーを服用すれば、解毒されるわけである。つぎに臨床例を示す。

図4は、52歳、女性、外傷後(交通事故)の腰痛症の方のものである。ドロップがアレルギー(AL)、関節(AR)、脂肪代謝(FA)に見られる。これらに対し、腸球菌、大腸菌、銀、エタノール(食用アルコール)がドロップを消失させた。この患者さんは、この後、約半年にわたり、これら毒素解毒用のホメオパシーを服用した。そして五ヵ月ほどたったある夜 、汗をびっしょりかいて目が覚めたのだが、その汗は何と酒くさかった。この方はお酒は一 滴も飲めないのである。そしてその寝汗の前日も、もちろん飲酒していない。おそらく飲酒はしていなくても、過去において、何かの菓子や料理から体に入って、それが汗となって排泄されたのであろう。そして、そのアルコールが腰痛症の治療を著しくさまたげていたのではないだろうかと思われる。この方の腰痛は、EAVによる治療前は、神経節ブロックをしなければならないほどひどかった。このケースは、毒素排泄が自覚できた例である。

【 図4 】


今回は、EAV全体についておおまかなことを説明した。次回より個々の事項について、詳しく述べていくことにする。次回以降は測定ポイントおよび、測定値の読み方について・レメディーテストについて・歯科との関連・ホメオパシー治療について、など言及していこうと思う。

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